ペ○スが自我を持つ某イタリア小説を読んで「でかいからね……」と雲雀が納得しちゃうといいな妄想



 そういう問題じゃなくないか、というとかわいらしく小首を傾げられた。
 とはいえ人質はその手の中だ。この状況で雄雄しく胸を張っているあいつは、確かにオレと同じ意思を持っているとはとても考えにくい。ていうか恭弥にだって、こういう生理状態は御理解戴けると思うのだが。
 ぽん、という音がして我に返る。どこからとりだしたのか、恭弥が手に持っているのは油性マジック。いやいやいやいや。描かれだしたとんでもなくつぶらな右目にあわてる。
「くっ……すぐってぇ。恭弥!……やめ」
「あなたには関係ない」
 いやある。大ありだ。オレはあいつであいつはオレだ。残念ながら。
「やめ……ろって!つうか恭弥」
「うん」
「おまえオレとこいつとどっちが好きなんだよ!?」
 ぽかん、とした顔で恭弥が手を止める。いやオレも驚いた。何言っちゃってんだ、オレ。
「……」
「……」
「………………こいつ」
「ワオ」
 むすっと恭弥が唇を尖らせる。傷ついた、傷ついたぞ俺は。嫌みったらしく項垂れてやると、恭弥が笑った。
「……ねえディーノ」
「何だ?」
「やめてよね、それ。表情が変わっちゃった」
 見るとオレより恭弥に愛されている男が、さっきよりも更に得意げに身を太らせている。まったく正直者で、どうしようもない。オレは小さく息を吐いた。
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